2017年 10月27日
『充実の一日』
今日は、長く充実した一日になる。朝から石山高校でレッスンして、その足で京都に出て「国宝展」を見て、夜は京都芸術劇場 春秋座でハンナー・ゲッベルスとアンサンブル・モデルン(ベルリン)による音楽劇『Black on White』を見る。
国宝展、京都国立博物館の120周年記念の展覧会だけあって、国宝ばかりがずらり並び、凄い人気で、人の頭の間から覗き見る感じでした。
空海の書、雪舟の水墨画、俵屋宗達の風神雷神、とりわけ縄文時代の土偶が素晴らしかった。球体のような足、丸いお尻、突き出たお腹のぽってりしたビーナスと、今流行りの幅広パンツをきりりと着こなし、胸高ですらりと背の高い女神が、とてもモダンで現代彫刻のようで面白かった。
京都の南、七条から、北のはて上終(かみはて)町の京都造形芸術大学内にある春秋座に移動、行ってびっくり、ギリシャの神殿を思わせる巨大な階段と門が向かえてくれた。
日本初演の劇は、フルート、オーボエ、トランペット等の管楽器から、弦楽器、ピアノ等の奏者18人が、暗い舞台の上に整然と並べられた30ほどの長椅子を、様々に移動しながら、現代音楽、ジャズ、礼拝音楽などを色々なアンサンブルで演奏しつつ、舞台の上手下手でテニスボールの投げ合い、そのボールを大太鼓や金属板にあててみたり、奏者たちがライティングから舞台転回もこなしながら進んでいく。
その背景に、エドガー・アラン・ポーの小説「影」 が、フランス語、ドイツ語、英語、日本語で朗読される。
白い大きな垂れ幕に演奏する影が映し出されたり、眩いばかりの光で客席が照らされたり、突然舞台を縁取っていた板がババ〜ンと舞台上に倒れたと思ったら、黒枠が黄色い2倍の大きさの額縁なったり、不条理の連続。
何を意味していたのか、「影」を読んで、反芻しなくてはいけない。面白く重たい舞台だった。 |