2017年 1月27日
『二組のご夫妻』
バタバタと日を過ごし、気付けば、もう1月も終ろうとしている。
12月の心配事も、弟も友人も退院、焼け出された方も新しい住まいに移られ、落着となったものの、風邪を引いたり、わが身の体調が思わしくない。
でも、石山高校の帰りに建部大社にお参りに行ったり、太融寺さんの年一度ご開帳のご本尊千手観音を拝見したり、展覧会も二回訪れる。
まず、京都市立美術館の「日展」に、日本画の北野治男さんの作品を、拝見に行く。もう30年ほどのお付き合いになるが、また新境地を開いてらして、その世界に吸い寄せられるように、何分も眺めてた。
深い森の中を流れる川面に、得も言えぬ色合いの淡い霧が立ち込め、その上を白い鳥が、その先にある玄い闇を目指し静かに飛んでいる『幻影』。ひんやりとして音もなく、風も吹いてない世界、風景画であって風景画でない世界が広がっていた。昨年は、体調を崩され休まれていただけに、その精神力に頭が下がる。
そして、同じく出展なさっている染色家の奥様の作品を拝見すれば、こちらも地中の「せみ」を描き、新たな世界に踏み出されている。電話で羨ましいと感想お伝えしていたら、北野さん『いつも何かとしゃべっているしなあ〜』と…。
そして、現代美術の野村久之先生と奥様の二人展にもお邪魔する。野村先生のは、80歳を越えられているとは思えない、和紙や針金も使って、色使いがとても明るい画面から飛び出る半立体の、ポップでいて、内容は重たい作品。弾む心そのもののエネルギーが、伝わってくる。
奥様のはるみ先生の日本画は、水辺の動植物を描いた作品が多いのですが、拝見していると、なぜか画面から『幸せ感』が漂ってくるんです。もう70歳は越えてらっしゃるはずなのに、世間ずれしていない乙女の薫りがする。久之先生に、しっかり抱き止められていらっしゃる感じがするんです。本当に羨ましい。
高め合う二組のご夫妻を目の当たりにし、今更ながら独りぼっちの寂しさ増す。
と言いつつ、昨日は、らふらんすの新年会が祇園の料理旅館であり、メンバーの所にフランスから版画彫りの修行に来ているカップルも参加、22人ほどで、お鍋を囲みワイワイ祝う。 |