フルーティスト 水越典子 ウェブサイト


レッスンのひらめき

演奏会には出てると言われる“水ぶー”(学生時代のあだ名)らしさを、このホームページでも…。
普段着姿の気まぐれ日記です。


 

2016年 9月25日
『思い出の曲』

いよいよ「フルートのたのしみ」が、後一月ちょっとと迫って来た。

今年で没後20年になる武満徹の遺作の「エア」に、また取り組んでいます。この曲は、オーレル・ニコレの70歳の誕生日プレゼントに書かれた曲ですが、そのニコレにレッスンして頂いた、思い出の曲。

初めてリサイタルで演奏する時に行き詰まり、思い余ってニコレに助けを求めたら、演奏会前のシンフォニーホールの楽屋で、レッスンをして下さった。今思えば、よくそんな事をしたなと思いますが、偶然が助けてくれ、勇気を出せた気がする。

その年に三宅楽器主催の演奏会で、アルトのトップとしてコンチェルトの伴奏した後、草津の講習会でお会いしたら覚えて下さっていて、聴講生だったのに、受講生と一緒に舞台に立たせて下さった。アルトフルートのNorikoで通じるのが分かっていたので、マネージャーを通しお願いしてみたら、引き受けて下さったんです。

書き込みで埋まった譜面を見ていると、「エア」を吹き出したとたん、目前のニコレが、アルプスの山のようにそびえ立ったように感じたのを、思い出す。公開レッスンも受け、講習会も何度も行ったけれど、一対一で対峙したニコレは大きかった。そのニコレも、亡くなってしまった。その後も何度も演奏したけれど、ニコレのアドバイスの意味が20年たって、今やっと分かったところがある。譜面にしても、武満が1994年6月17日の「時の園丁」に、『私がうたいたい旋律は、単純な叙情の線ではない。それをも含めた、多くの糸が複雑に縒り合わされた、物語る線である。』と書いていた、正にその旋律を書いて逝かれたと、はっきり読めてきた。

なんとも覚束ない歩みで、歩んで来た事でしょうか。フルート音楽の変遷を辿ってきたこのシリーズは、2010年までたどり着けたので、ゲンツマーの98歳作品、別れの幻想曲「無限の端にある夢のような」を吹き、35回で終えようと思います。

11月3日午後3時からムラマツリサイタルホールにて催しますので、ご来聴頂ければ幸いです。(詳細は、コンサートのご案内をご覧下さいませ)


 

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