vol.6
『関係性を読み解く』
作曲家は無から曲を生みだし、ひとつの世界として留め納めている。
そこには作曲家それぞれの論法があり、かたちフォルムがある。
楽譜全体をふわっと眺めていると、同じ図柄のところが見えてくる。
その図形がずれていたり、♯や♭の臨時記号が付いていたり、
様々な変化や規則性、全体の配置が分かって来たりする。
その関係性を見据えた上で音を出してみると、
変化が色々な感情を自分にもたらすのが、よく味わえる。
奏者自身が全体の展開を腹に収めつつ、変化に立ち合うことで、
はじめて作曲家が書いた話を物語れるのではないだろうか…。
3本の綱を編んだような、バッハのソナタの難解なパズルが解ければ、
関係性の中に漂う悦びはひとしおのものです。
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